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【第9回】個性豊かな岩手のこだわりシードル

2017年02月20日更新

青森県、長野県とご紹介してきましたが、今回は再び北上して東北地方に戻ります。東北地方は、日本のりんご生産量の8割近くを占める地域で、もちろん東北6県全てでシードル作りがおこなわれています。今回は、その中でもりんご生産量全国4位の岩手県のシードルをご紹介したいと思います。日本ではまだ珍しいノンアルコールシードルなども含めると、私たちが2017年2月時点で把握している範囲では、現在7個所でシードルが生産、販売されています。

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cider0901.jpg盛岡駅から車で10分のところにあるベアレン醸造所は、ヨーロッパの伝統的なクラシックビールを作るブリュワリーです。前回まではワイナリーやサイダリーのシードルをご紹介してきましたが、海外ではビールの醸造所がシードルを作ることは決して珍しくなく、シードルブームを牽引している存在にもなっています。

そして、今回ご紹介するシードルは「イングリッシュ・サイダー」です。イギリスといえば、以前、【第5回】世界のシードルとシードルの世界でもご紹介した通り、世界で最もシードル(英語でサイダー)を生産している国です。そのイギリススタイルの伝統的なサイダーを目指したことから、イングリッシュ・サイダーと名付けられました。というわけで、ここからはシードルではなくサイダーとしてご紹介いたします。

日本では、ビールとサイダーでは醸造免許が異なるため、発泡酒の免許で生産を始めた当初は、わずかだけ麦芽を入れたサイダーを発売していたそうです。社長の木村さんのお話では飲んでも麦芽は感じない程度だったとのことですが、平成26年には果実酒免許を取得し、果実酒としてのイングリッシュ・サイダーが完成したのです。

イングリッシュ・サイダーは、使用するりんごの収穫時期によって年に3回発売されます。つがるをベースにする優しい味わいの1st、ジョナゴールドをベースにして酸味をしっかり感じる2nd、ふじで作られる3rdがあります。

cider0902.jpg◆今月のテイスティング
イングリッシュサイダー 2015 2nd
アメリカ生まれのジョナゴールドを主に使用している2ndは、酸味がやや強めでスッキリとしたドライな味わいが特徴で、酵母が作り出した炭酸を楽しめます。この2ndは唯一小売店で店頭販売され、酒販店でも購入することができますが、人気であっという間に売れてしまうそうです。
*味わい ドライ
*サイズ/価格 300ml / 324円(税込)
*アルコール度数 6%

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cider0903.jpg

次にご紹介するエーデルワインは、岩手県の東側に広がる北上山地の最高峰・早池峰山の麓にある花巻市大迫町にあります。早池峰山は国内屈指の高山植物が咲き誇る山で、エーデルワイスの姉妹花といわれるハヤチネウスユキソウが咲きます。そんなご縁から大迫町はオーストリアのベルンドルフ市と友好都市にもなっており、「エーデルワイン」はエーデルワイスにちなんで名付けらました。

ワイナリーに到着すると大きなワイン直売店「ワインシャトー大迫」があり、その隣には昨年新設したテイスティングルームがあります。その隣には、ワインづくりの歴史や全行程が見学できるワイン工場があり、ここでシードルも作られています。

エーデルワインでは、2012年よりシードルの仕込みが始まり、2013年2月に初リリースされました。地元で1箱100万円もの高値がつくほどの岩手県のブランドりんごである「江刺りんご」で有名な江刺産のサンふじを使ったシードルは、甘口の「星の果樹園シードル」と辛口の「ヒメコザクラ シードル」2種類があります。

cider0904.jpg◆今月のテイスティング
にごりスパークリングワイン ヒメコザクラ・シードル2015
ヒメコザクラ・シードルは、タンク内で発酵中のシードルを瓶詰めし、瓶内で発酵を継続させるメトード・リュラル方式を採用しており、一本一本丁寧に手詰めされた無濾過のにごりシードルは、フレッシュさとにごりからくるやさしい旨みやコクが出汁を利かせた和食や魚介料理ともよく合います。毎年味わいの違いを楽しむのも通の楽しみ方。ラベルに描かれた早池峰山に咲くヒメコザクラがかわいらしいですね。
※現在、ヒメコシードル2015は完売しており、次の2016は3月下旬発売予定です。

*味わい 辛口
*サイズ/価格 750ml / 1,620円(税込)
*アルコール度数 9%

【まとめ】
岩手県のりんごは、生産量では全国の6%と多くはありませんが、味に関してはとても評価が高いという印象があります。シードルも今回は2箇所しかご紹介できませんでしたが、他にも岩手県にしかないこだわりを感じるシードルがまだあります。
また、昨年11月には、エーデルワインがある花巻市が「花巻クラフトワイン・シードル特区」に認定され、今後さらに新しいシードルも誕生してくることでしょう。次の機会に皆様にご紹介させていただきます。
(文・写真:渡部麻衣子、小野司)

【ベアレン醸造所 イングリッシュサイダー】
http://english-cider.jp

【エーデルワイン】
http://www.edelwein.co.jp

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