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【第5回】世界のシードルとシードルの世界

2016年10月25日更新

「世界には、こんなに多くのシードルがあるなんて知らなかった」という皆さんのために、各国のシードル特徴をおさらいしてみましょう。シードルは、各国のリンゴ酒文化を知ると、ますます面白くなるお酒です。日本では、ガレット専門店などで提供されるフランス産に加え、最近は国産のシードルを目にする機会が増えていますが、さまざまな国のシードルが輸入されていますので、見つけた際には原産国も確認してみましょう。

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france01.jpg日本で使われる名称「シードル」は、フランス語のCidreが語源で、戦後、国内でシードルをつくる際にフランスから技術者を招いたことで、使用されるようになりました。主な産地はブルターニュ地方とノルマンディ地方で、気温が低くて雨が多いなど、ワイン用ブドウの栽培が難しい地域で、シードル文化が発展しました。シードルは、リンゴを数種類から10数種類をブレンドしていますが、甘みもある青リンゴのギルヴィックなど単一品種から作られるシードルもあります。シードル農家「フェルミエ」などfrance02.jpgでは、今もなお天然酵母を使って醸造しており、果実味と野性味ある複雑な味わいのシードルに仕上がっています。辛口のシードルでも、ちょっと甘みを残しているのがフランス産の特徴で、ブルターニュ地方の伝統料理であるソバ粉のクレープ「ガレット」とのマリアージュが有名です。酪農が盛んでカマンベールチーズでも有名なノルマンディ地方でのシードルは、チーズと合わせても美味しいです。

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シードルは、英語ではCIDERとなります。日本では、サイダーと聞くとノンアルコールの炭酸飲料をイメージする方が多いですが、イギリスではリンゴのお酒がCIDERです。パブなどではパイントサイズのタンブラーグラスでゴクゴクと飲むことが多いサイダーは、フランス産よりもドライで、酸味やはっきりとした渋み、なかにはスパイシーさも感じさせます。
イギリスは、世界で最も多くサイダーを生産、消費している国で、世界的なメーカーがある一方、クラフトサイダーをつくる小規模のサイダーハウスも多く、2000年に入ってからイギリスで続いたサイダー人気は、近年になってクラフトサイダーへと関心が移りつつあります。

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spain01.jpgシードルは、スペイン語ではSidra(シドラ)と呼ばれ、スペイン北部のアストゥリアス地方やフランスにまたがるバスク地方を中心に、古くから作られてきました。シドラには、瓶を頭上に掲げて高いところから注ぎ、腰の位置に構えたグラスで受ける「エスカンシア」という独特の注ぎ方があります。シドラを泡立てさせて空気に多く触れさせることで、酸味や硬さを感じる濁りシドラをまろやかな味わいに変え、香りを引き出します。マロラクティック発酵により乳酸が多いシドラは、冷やしすぎない10℃前後で飲むのがオススメ。アストゥリアス州では、地元産リンゴのみを使用したシドラのみにSidra de Asturias(シドラ・デ・アストゥリアス)と表示を許可していますが、他にも炭酸ガスや糖の添加をおこなわないシドラはNatural(ナトゥラル)と表示するなど、地元産や伝統的なシドラを大切にする取り組みもおこなっています。

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america.jpgアメリカでは、禁酒法制定以降、ノンアルコールのジュースをアップル・サイダーと呼ぶようになったことから、お酒である近代的なサイダーをハードサイダーと呼んで区別しています。アメリカでも開拓時代からサイダーが飲まれていましたが、ビールが飲まれるようになると、その生産量は落ち込んでいきました。しかし、1990年代にブリュワリーが多数参入することによりサイダーは徐々に復活し、2011年頃からはクラフトサイダーも注目されて、リンゴの生産量が多いオレゴン州やワシントン州周辺では、サイダーハウスが多数設立されます。
ハードサイダーは、生食用リンゴやクッキングアップルをベースしたすっきり味のサイダーで、ジンジャーやフルーツ、ハーブなどを加えたフレーバー・サイダーに仕上げることにより個性を競っています。りんご生産量2位のニューヨーク州がある東海岸側では、伝統的なサイダーも作られており、幅広い種類のサイダーが楽しめます。

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newzealand.jpgイギリスが世界各地に植民地を広げると同時に広がっていったCIDERは、南半球のニュージーランドにも伝わりました。70年以上前から作られているトラディショナル・サイダーもありますが、2008年以降にビールメーカーが作り始めたことで人気が上昇し、今ではレストランやパブで気軽に飲めるお酒になりました。若者に人気がある甘口サイダーから、トラディショナルな大人向けの辛口サイダーまでと幅広く好みに対応し、フレーバード・サイダーも人気で、洋梨を使ったペアサイダーはもちろん、ジンジャー、グランベリー、パッションフルーツ味などのフレーバード・サイダーも多くつくられています。

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japan.jpg日本のシードルは、つがる、ふじ、紅玉など、お馴染みの生食用のりんごを使って作られるシードルが多く、主にそれらを単一または数品種ブレンドしています。特に辛口のシードルは、アルコール度数がやや高めの8%前後、さっぱりしていて素材を活かす日本食にも合わせやすいです。最近は、日本の在来種である和リンゴや鑑賞用としても楽しめるクラブアップル、酸味の強いクッキングアップルを使うことで、酸味や渋みが特徴的なシードルも作られています。生産地は、青森、長野、北海道などを中心にりんご産地全体に広がりますが、特にワイナリーが多い地域では、新しいシードルが誕生しています。

世界のシードルはいかがでしたか。各国のシードル文化を知ることで、よりシードルが選びやすくなり、その面白さに気づきます。どうぞ美味しいシードルライフをお過ごし下さい。(文・小野司)


【北海道シードルコレクション開催】
北海道産をはじめ、国内外のシードルが味わえるシードルコレクションが、北海道札幌市でも開催決定です。
<開催日時>2016年11月12日(土) 11時~18時
 ※最終入場は17時30分

<会 場>event space EDiT
 札幌市中央区南2条西6丁目 南2西6ビル B1
 地下鉄大通駅1番出口より徒歩3分 東急ハンズ裏

<入 場 料>
・得々パスポート 3,000円(税込)
 いろいろ試せる飲み放題  100枚限定
・お試しチケット 2,000円(税込)
 気になる10杯選べます  200枚限定
※前売券が完売した場合は、当日券の販売はおこないません。お早めにお買い求め下さい。

<前売りチケットの購入方法>
 http://hcc.jcidre.com/ から電子チケット販売サイト「Yahoo!JAPAN PassMarket」にアクセスして、ご購入ください。
市内の店舗でも購入できますので、下記のサイトをご覧ください。

詳しくはこちらから
https://www.facebook.com/HokkaidoCiderCollection/

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