最新記事:2017年03月25日更新

WEBなないろトップページに戻る→

にっぽんのおいしいシードルトップに戻る→

【第10回】サイダー大国「イギリス」を代表するCIDERが六本木に集結

2017年03月25日更新

日本ではシードルとして知られているリンゴ酒ですが、世界、特に英語圏ではサイダー(CIDER)と呼ばれ、欧米では年率4%で市場が成長していることは、日本ではあまり知られていません。日本で一般的に知られているサイダーは、明治時代初期にCIDERの代替品としてノンアルコールの炭酸飲料「サイダー」が横浜で商品化され、それが和製サイダーとして広く普及しました。その後、本場イギリスからCIDERが本格的に輸入されることは暫くありませんでしたが、近年になり日本でもシードルへの注目が高まるにつれ、CIDERの輸入が増えてきました。

そして、今回3月16日に東京六本木において、第一回目となる英国大使館国際通商部後援「英国プレミアムサイダーパーティ」が開催され、昼夜合計250名を超える方々が30種類のイギリス産CIDERを体験しようと集まりました。
今回は、サイダーパーティに出品されたCIDERをいくつかご紹介したいと思います。
01ph会場内の様子.jpg■Sheppy's Cider
シェピーズは、イングランド南西部のサマセットにある200年の歴史と36ヘクタールのCider用果樹園を持つクラフトサイダーメーカーです。
第二次世界大戦の時に、サイダーの製造をやめざるを得ない時期もありましたが、その後再開し、シェピー家は6世代に渡りサイダーを作り続けています。自然発酵を経て完成したサイダーは、高品質と評価されており、例えばKingston black(写真中央)は、アメリカのInternational Cider and Perry Competition 2014で銀賞を受賞したドライサイダーです。150ヘクタールある広大な農場の中では、アヒルや牛なども飼われおり、リンゴの搾りカスは、冬の間の牛たちの餌として無駄なく活用されているそうです。 http://sheppyscider.com
02シェピーズサイダー.jpg■ Cornish Orchards
コーニッシュ・オーチャードは、イギリスの西南端に位置するコンウォールにあるクラフトサイダーメーカーです。1999年にアンディ・アトキンソン(Andy Atkinson)によってスタートした比較的新しいサイダーメーカーですが、今では受賞歴のあるサイダーを製造しています。なかでも、GOLD CIDERは、伝統的なサイダー用品種に甘酸っぱい品種もブレンドした、飲みやすさにも配慮されたトラディショナルサイダーとなっています。http://www.cornishorchards.co.uk
01コーニッシュオーチャード.jpg
■Henny's Cider
へニーズサイダーは、マイク・へニーズが1996年に趣味でこっそり始めたサイダー作りがきっかけでスタートしたという、ヘレフォードシャーにあるクラフトサイダーメーカーです。その美味しさが評判となり、徐々に生産量は増えて、2013年には約200万本も生産するに至りました。今でも、マイク本人がサイダー作りを手がけているそうです。2015年のインターナショナル・サイダー&ペリー・コンペティションで総合優勝を果たした辛口のスティルサイダー(イギリスでは一般的な炭酸のないサイダー)のへニーズ・ヴィンテージを始め、毎年のように受賞サイダーを送り出しています。へニーズでは、シャルマ法(タンク内二次発酵)を採用し、シャンパーニュ用酵母を使用することで質の高いサイダーを作り出しています。http://www.henneys.co.uk
01へニーズサイダー.jpg

■Apple County Cider Co
アップルカウンティサイダーは、ウェールズにある家族経営のクラフトサイダーメーカーです。ワインメーカーの技術も取り入れ、ゆっくりと低温で発酵させることにより、リンゴの品種特性を生かしたサイダー作りをおこなっています。現オーナーのベンさんは、小麦や大麦などに含まれるタンパク質の一種であるグルテンが原因とされるセリアック病だったため、サイダーを作り始める前から、グルテンフリーのサイダーをいつも飲んでいたそうです。サイダーメーカーとしても、彼のサイダーはインターナショナル・サイダー・チャレンジなどで数多くの賞を受賞しています。写真のミディアムスウィートは、ヤーリントンミルというリンゴを使った、ほのかな甘みと渋みを感じるサイダーで、日本の食事にも合わせやすそうでした。http://applecountycider.co.uk01アップルカウンティサイダー.jpg

■Aspall Cider
アスポールは、イングランド東部に位置するサフォークの地に1728年に設立され、8世代に渡りサイダーを作っているイギリスを代表するサイダーメーカーです。設立当時、リンゴを破砕する花崗岩のミルは、フランスのノルマンディーより船で運ばれたそうで、ミルを挽くための馬が生きていた1947年まで使われていました。アスポールのサイダー造り275年を記念して造られたというドラフトサフォークサイダーは、ラセット種を中心としたリンゴの華やかな香りが特徴で、いくつかあるラインナップで中心的な位置付けです。今回、会場では樽生でも用意されていました。http://www.aspall.co.uk

01アスポールサイダー.jpgイギリス伝統のCIDERはいかがでしたか。世界一のCIDER生産量を誇るイギリスは、シードルを語る上で忘れてはいけない国の一つです。長い歴史の中で作られてきた自然発酵による複雑さを備えた伝統的なサイダーから、ワインの技術も取り入れた酒質の高いサイダーまで、イギリスならではの幅広い味わいを是非楽しんでみてください。
(文・小野司)

  • Tweet
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • ←前の記事を読む
  • ページ上部に戻る
  • 次の記事を読む→
バックナンバー にっぽんのおいしいシードルトップに戻る 最後更新(2017年05月25日更新) RSS
  • 【第12回】世界に向けて日本のシードルを情報発信!長野シードルコレクション
  • 【第11回】日本海の風土を表現した、北陸唯一のシードル
  • 【第10回】サイダー大国「イギリス」を代表するCIDERが六本木に集結
  • 【第9回】個性豊かな岩手のこだわりシードル
  • 【第8回】地域と共に育まれる信州のシードル(中信・南信編)
  • 【第7回】地域と共に育まれる信州のシードル(北信・東信編)
  • 【第6回】北海道シードルの魅力とシードルコレクション
  • 【第5回】世界のシードルとシードルの世界
  • 【第4回】世界のシードルを飲み比べ「第一回東京シードルコレクション2016」
  • 【第3回】青森でチャレンジし続ける造り手たち
  • 【第2回】生食用リンゴで造る、日本産シードル
  • 【第1回】リンゴの風味いっぱいのお酒、シードル
  • WEBなないろトップに戻る

本ウェブサイトに掲載されている記事・写真・映像等、全ての情報の権利は著者および虹有社(こうゆうしゃ)が保有しています。 これらの素材をいかなる理由・方法においても無断で複写・転載することは禁じられております。

Copyright (C) 2017 Kohyusha. All Rights Reserved. 虹有社(こうゆうしゃ)