最新記事:2016年07月25日更新
2016年07月25日更新
シードルはビール代わりの飲み物として若者を中心に海外で人気を集めています。そして日本ではビールともスパークリングワインとも違う、香りのよいおしゃれな飲み物として女性を中心に人気がでています。
今回は、日本産シードルに見られる特徴ということで、原料のりんごにスポットを当てたいと思います。
リンゴは種類が豊富で、世界中に2万種類以上あるといわれています。外国産シードルに使われているリンゴは、私たちが日本でよく見かけるふじや王林などのリンゴに比べるとふた回りほど小さいサイズで、生で食べるには皮が厚かったり、苦みや酸味が強すぎたりするシードル用のものです。
ノルマンディ地方のペイ・ドージュでシードル用として認められているリンゴは46種類、味によって4タイプに分けられ、
① 苦味の強いKermerrien (ケルメリエン)
② 甘味と苦味のあるPeau de Chien(ポ・ド・シアン)
③ 強い甘味のDouce Coetligne(デュース・コエトリニエ)
④ 酸味が特徴のGuilevic(ギルヴィック)
といった味に特徴のあるリンゴを使うことで、深みのあるシードルを造りだしています。単一品種のみで造ったシードルは珍しくて、さまざまな品種のリンゴをブレンドすることが多く、なかには数十種類以上もブレンドしているシードルもあります。
日本シードルマスター協会で調べたところ、日本産シードルに使われているリンゴは、ふじ、紅玉、王林など28種類あり、香りが高く生で食べてもおいしい食用リンゴがメインです。甘味のあるふじを中心に単一品種で造るものが多いですが、数種類をブレンドして造ったものも少しずつ登場しています。
海外のシードルは、産地によって特徴があります。ブルターニュやノルマンディのフレンチスタイルのシードルはまろやかで熟した複雑味のあるタイプ、フランス国境に接しているスペインバスク地方は酸味が際立つドライなタイプ、イギリスとアメリカのサイダーのようなブリティッシュスタイルはライトで飲みやすく、ドライなものやフルーツやスパイスなどのフレーバーで飲みやすいものなど、さまざまです。
日本産シードルは、リンゴ収穫量全国1位の青森県と2位の長野県を中心に、リンゴの産地で造られています。 青森県は1938年に余市でアップルワインを造ったニッカウィスキーの弘前工場、北海道、東北、長野県は日本ワインを醸造するワイナリーが中心となってシードル造りを盛り上げています。 2014年以降、新しく設立した醸造所は11ヶ所。現在、日本で造られているシードルの種類は、私の手元にあるラベルを数えただけでも100種類以上あります。
一般的な日本産シードルの特徴は、レモンイエローの涼しい色味にフレッシュでフルーティな香りと溌剌とした味わいです。
日本産シードルは、糖度の高い食用リンゴを原料とすることが多く、海外産と比較すると、繊細でスッキリとした味になります。
手間ひまかけてつくった辛口シードルは純米吟醸酒のようだと表現する人もいて、自然と日本の風土に合った味になります。ワインだと難しいといわれるイクラや刺身と合わせてもおいしいだけでなく、揚げ物と合わせると淡麗な味が丸みを感じるようになるのも日本産シードルのおもしろさです。
まろやかでコクのある味が好きな人はフレンチタイプのシードル、ビールのような軽い飲み口が好きな人はブリティッシュタイプのサイダー、香りの良さと溌剌とした味を楽しみたい人は日本産シードルを選んで飲み進めていくのがおすすめです。
次回から、産地ごとにシードルの銘柄紹介もしていきます。ご期待くださいね!
(文・安倍かや乃)
【東京シードルウィーク&コレクション開催】
国内外のシードルが味わえる、世界のシードル文化にふれる屋内イベント。
<開催日時>2016年8月28日(日)
一部:午前11時~午後1時/二部:午後3時~午後5
※開場は30分前より
<会 場>TOKYO SHARE DINING 1K 池袋駅北口徒歩3分
http://hacocoro.com/space/
<入 場 料>前売りチケット 4,000円(税込)
<チケットの購入方法>
7月上旬より、協賛店舗での先行発売
その後、インターネットでの販売を予定
<入場者数(予定)>
150人 × 2部 最大300人
詳しくはこちらから
https://www.facebook.com/events/1107148499356374