最新記事:2015年06月01日更新
2015年06月01日更新
今回はちょっと趣向を変えまして、現在販売中の書籍の中から、先月、めでたく3刷となりました『においと味わいの不思議 知ればもっとワインがおいしくなる』(2013年9月20日初版発行)をご紹介致します。
こちらの書籍は、東京・青山のワインスクール「アカデミー・デュ・ヴァン」で開催された連続セミナー「匂いと味わいへの科学的アプローチ」の講演を元に、それぞれの先生が加筆修正し、さらに書き下ろしを加えた本です。
講師の先生は、東京大学の東原和成教授、北海道・函館のワイナリー『農楽蔵(のらくら)』の醸造家で、フランス国家認定醸造士の資格をもつ佐々木佳津子さん、京都大学の伏木亨教授、そして、このセミナーの企画者であり、書籍の編集にも携わっていただいたフード&ワインジャーナリストの鹿取みゆきさんです。
たとえばソムリエやワイン通の方が、ワインの香りを嗅いで、バラやスミレ、レモンやピーマンなど、さまざまな花やフルーツ、野菜に例えるのを、不思議に思ったことはありませんか?(私はあります)
ワインの香りの中から、どうして、そんなにおいがするというのでしょう?
そう思って、グラスに鼻を近づけて、クンクンと嗅いでみても、ワインの香りはワインの香りであって、なかなかすぐにそんなふうには、においを嗅ぎ分けることはできません。
それでもある日、誰かに「このワインにはバラの香りがするよね?」と言われたときに、突然、パッと分かることがあります。
ワインに限らず、こうした体験をしたことがある人は、きっとたくさんいらっしゃるでしょう。
どうして、そんな不思議なことが起きるのでしょう?
そもそも、ブドウから、どうしてバラの香りがするのでしょう?
また、自分はこのワインはおいしいと思うけれど、友人はあまりおいしくないと言うこともあります。おいしさというのもまた、よくわからないものです。
私たちは毎日、よい香りを楽しんだり、おいしい物を食べたり、といったことを自然に行っています。でもそこには、考えてみると不思議なことがたくさんあります。そして、科学的な視点をもった先生たちには、またまったく別の世界が見えているようなのです。
講義をベースにした書籍ですので、分かりやすい話し言葉で、先生たちはその世界の一端にやさしく導いてくれます。
においって、何でしょう?
おいしさって、何でしょう?
ワインの香りはいったいどこからくるのでしょう?
どうしてそれを言葉にできるのでしょう?
......においと味わいの不思議を覗き見ると、食をとりまく日常が、まったく違うふうに見えてくるはずです。
ワインを題材にした内容ながら、普遍的なにおいと味わいについて書かれていることもあり、ワインファン以外の方々にもたくさんの反響をいただきました。
こんな見方があったんだ、という驚きと面白さを、ぜひ体験していただけましたら幸いです。
また、においと味わいの不思議に続くプロジェクトが、昨年より始まっています。今回は「におい」に的を絞ったもので、より実験的な内容のため、まだまだ完成には時間がかかると思いますが、どうぞ、ご期待ください......!