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【Vol.1】 文化美人VS文化ブス

2014年08月18日更新

みなさんはじめまして、みやこ小路です。

私は富山県富山市に生まれ、立山の青い山脈を毎日眺めながら「やわやわ」育ちました。「やわやわ」とは富山弁で「ゆっくり、のんびり」という意味です。

大学で上京した時は、周囲に山が見えないことに涙し、国分寺駅の人の多さに驚愕し、渋谷センター街をビクビクしながら歩いたものです。

そんな田舎者丸出しな私が生まれた富山に、2015年春、北陸新幹線が通るというではないですか。やったー! 富山から東京へ行くのに、もう越後湯沢で特急と新幹線を乗り換えなくていい! 越後湯沢駅を訪れるたびに、ワンコインで数種の日本酒が飲める販売機とねんごろになっていたので、それだけは心残り。

さて、喜びも束の間、首都圏における富山と金沢の知名度を考えれば、このままでは富山を素通りして金沢に観光客が流れてしまうのは火を見るより明らか。
曇天色のグラデーションを織りなす「北陸」という地方から頭、いや身一つ抜きん出ているのが金沢、その下で金沢を永遠のライバルだと思っているのが富山。私が高校生の時は、金沢の香林坊に買い物に行くのは一種のステイタスだったものです。
富山の永遠のライバル、金沢の一人勝ちにはさせまい、とひとり息巻いて現状を分析してみる。
かつての加賀百万石と、十万石の富山。この経済力の差が顕著にあらわれるのが「文化・芸術」。

金沢といえば兼六園、21世紀美術館、美しい和菓子。対する富山といえば、立山黒部アルペンルート、地酒、魚介がおいしいよね...ってあら、自然は多いけど、文化や芸術がないじゃないのさ! 城の規模、出身著名人をご覧になればおわかりでしょう、金沢の圧勝っぷりが。

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金沢出身の文化人なんて、鈴木大拙! 泉鏡花! 室生犀星! 対する富山出身は室井滋! ...ええもちろん大好きですよ、「やっぱり猫が好き」世代のはしくれですからね私も。レイ子さんはいつだって恩田家の中心でしたよ。でも、大拙・鏡花・犀星の教養臭が強すぎる!

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まあまあ、城だの文化だの、食えなきゃしょうがないよってんで夜の繁華街にくりだしてみれば、芸妓さんが暮れのお茶屋街をゆきかう艶やかな姿...など富山には皆無! 

う、うらやましい〜、金沢の魅力がうらやましい〜。

やっぱり富山は金沢より優れた文化はないのかい、立山ばっかりかい、やれお茶でも飲も、といただいた最中の箱をあけてみれば金沢名物「起上もなか」の八幡さまの愛らしいことに加えて加賀棒茶の香り高いことよ。

どこまでも金沢の文化度高めラッシュは私をうちのめす。いやいや、富山にも最中ぐらいありますよ、立山の形をした最中が...って、えへへ、ねえ、和菓子のモチーフも、立山だのみな富山人の悲しい性。


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餡子と求肥のハーモニーがおいしい、おいしいよ、でもなんていうの、なんか、ジャケ買いしたくなる要素が富山のみやげ物には感じられないんだよねえ。パッケージ力というかデザイン力というかブランド力というか。簡単にいうと「見た目って、大事」ということを二の次にしている感が否めないんです。

シャイで勤勉、質実剛健な県民性が災いしてか、見た目を磨く努力を怠っている文化ブスこと富山。一方、前田家のお膝元で見目麗しい装いを華麗に身につけてきた文化美人こと金沢。

ギャフン! このままじゃ富山に観光客が来ないじゃないか、次回までに富山のイイとこめっけてくるから、とりあえずカモン、観光!

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