最新記事:2014年08月18日更新
2014年08月18日更新
「熱い」日が続きますが、お元気でお過ごしでしょうか。
こんにちは。日本健康開発財団・温泉医科学研究所の後藤です。
みなさんは、日本が世界的に見てすごい「お風呂・温泉大国」なのをご存知ですか。
私たちは「お風呂・温泉を通じて人類の健康長寿に貢献しよう!」というミッションの元、医科学的研究を推進しています。
さて、夏の「熱い」日はシャワーをささっと浴び、ビールのタブを「プシュ」とあけて、
「くあああぁぁ」が幸せなのはオッサンも女子も同じですよね。
うまい。うま過ぎます夏のビール。・・だけど惜しいぃぃ。
シャワーだけじゃもったいないんです。お風呂。お風呂です。
そりゃ面倒くさいですよね。疲れて帰ってきて、栓してお湯わかしてわざわざ熱いお湯につかるなんて...。
ですが、そんなひと手間が「女子力」をアゲてくれるんです!
日本女子の肌は秀逸です。
年を重ねるにつれ欧米女子と肌の若さは大きく差がつきます。
その差は、日本の高い湿度、バランスの取れた食生活、良質な化粧品や日本女子のスキンケア意識の高さにもあるでしょう。
ですが一番大きな差は「お風呂につかる」ことだと僕は考えています。
日本歴の長い風呂好き欧米女子なんて、還暦を超えてもつやつやだったりします(個人差あり)。
シャワーとどこが違うのか。毎日の活動がきついかどうかは人それぞれですが、夜には確実に体は疲れ、隅々に老廃物がたまっています。
お風呂の最大の効果は「温熱作用」。湯船につかると「びゃーーーー」と末梢まで送り込まれる血液の量が増大します。すると、酸素と栄養が身体の隅々に運ばれ、二酸化炭素や疲労物質が「しゃしゃーー」と排除されます。ここで1日の疲れはリセットできるのです。
それに、スマホに必要な充電は僕らにとっては睡眠。お風呂は「ぐっすり」な眠りも約束し、朝にはリフレッシュした体が取り戻せます。毎日「お風呂にはいる」ことは、植物にとっての「太陽」と「水」に相当します。
これを毎日くりかえすかどうかの積み重ねが、あなたの「女子力」に相当(!)・・かかわってくるんです。
当研究所の「入浴スタイルと健康状態に関する研究」においても、「夏・毎日湯船に浸かる人」のほうが、「健康感のよい状態」、「良質な睡眠と休養」、「幸福感が高い状態」にあるとのデータが得られています。だから! 夏こそ「湯船」に「飛び込みましょう」!
夏も後半、もしあなたが「夏ばて気味」ならば、「ぬるめのお湯にゆったり長め」につかるとよいでしょう。副交感神経(体をリラックス状態に導きます)が賦活され、ストレス解消にもつながります。
半身浴なら心肺に負担が少なく、より長湯することもできます。基礎代謝の落ちる夏は「夏太り」が気になる方もいるでしょう。ですが、お風呂でダイエットをねらっての「あつめのお湯に長め」はNG。お風呂で減少する体重は「ほぼ水分」で、カロリー消費はほとんどありません。
夏は特に、脱水・熱中症にも要注意。入浴前後の水分補給は忘れずに。汗の成分に近いイオン飲料なら、吸収も速やかです。また、夏は皮脂の分泌が多い上に日焼け止めやメークでも肌に負担をかけがちです。清浄作用のある、炭酸水素ナトリウム系の入浴剤を使ってみるのもいいでしょう。
・ ・・忘れてた。「プシュ」は利尿作用があり脱水予防にはなりませんから、お風呂をあがるまではぐっと我慢しましょう。
2014年7月1日。環境省から32年ぶりに温泉の適応症・禁忌症が発表されました。これは、日本温泉気候物理医学会が医学的研究の根拠に基づいてまとめたものをもとにしたものです。
従来禁忌症にあった「妊娠中(特に初期と末期)」がはずされたことが話題になっていますが、ほかにももりだくさんで、かなりわかりやすく具体的になっています。
それぞれの泉質ごとに、「女子力UP」の視点でみていきましょう。
第1回は保湿を促す「塩化物泉」。通称は「熱の湯」。
塩化物泉は、温泉に溶けている成分のうち、プラスイオンの主体がナトリウムイオンであるもの。濃いと海水みたいにしょっぱいこともあります。
女子的に見て塩化物泉の特筆すべき適応症は、末梢循環障害・冷え性・皮膚乾燥症。
なんといっても夏はおすすめです。職場で頻繁に勃発するオッサンと女子の冷房大戦争・・の行方は知りませんが、塩化物泉は女子の強い味方です。
浸かると塩類が肌に膜をつくってコーティング。ぽかぽかとあたたまりが持続しますし、肌から水分が逃げるのを防ぎます。ですので、入浴後はシャワーなどで洗い流さないでください。
「塩化物泉」といえば、関東近郊なら熱川温泉(静岡県)。関西なら有馬温泉(兵庫県)などが有名でしょうか。熱川がユニークなのは、20数本も立つ「温泉櫓」。関東近郊でこの景観を眺められるのはここだけです。100℃近い源泉で駅前ではゆで卵を自作もOK。あまりゆですぎるとハードボイルド...、って誰も聞いてませんね(汗)...。
いわゆる温泉卵は60℃くらいで半熟なので、好みに合わせてつくってください。有馬(金泉)は海から離れてますが、塩分が海水より濃い温泉です(濃すぎるので、人によっては湯上がりに流してください)。
近年、フィリピンのピナトゥボ火山と有馬の共通点が見いだされ、プレートテクトニクス(舌かみそう)によれば、どうやらマントルに乗って「どんぶらこ」と600万年くらいかけて運び込まれたとのこと。
(※編集部注:プレートテクトニクスとは、地球表層部で起こる地震、火山噴火、造山活動など、地学現象の原因やメカニズムを、地球表面を覆うプレートの水平運動で説明する考え。プレート理論ともいう)
せっかく温泉を訪れるなら、「食」や「自然」、「文化」なども楽しみましょう。熱川なら地物の魚。鯵のたたきやふのりのみそ汁が絶品ですし、有馬なら但馬牛は、はずせません。お酒も楽しんじゃいましょう...、お風呂の後に...。ほどほどに...、自戒の念を込め(笑)。